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久しぶりにハードコース [サイクリング]

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本当に梅雨なのか、疑わしくなる今日この頃。さっぱり雨が降らないのは困るけど、自転車で走るには助かる。今日は休みなので、兼ねてから行ってみたかったところに足を延ばすことにした。

一つはうちからだと山並みを一つ越えた魚沼丘陵にある塩沢に行くこと。というのもここは「北越雪譜(ほくえつせっぷ)」の著者鈴木牧之(すずきぼくし)の記念館などがある。北越雪譜はもう30年ほど前に初めて読んだけど、まさか自分がその舞台のそばで文中にあるような雪に埋もれる生活をすることになるとは思いもしなかった。いや、もしかしたらその時に潜在意識の中にしっかり雪国の暮らしが埋め込まれたのかもしれない。

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その塩沢で見たのは「鈴木牧之通り」という、埼玉の川越にある「蔵の街」に似た町並み。昔の街の面影を残したのか、再生したのかは不明だけど、観光客を呼ぶためのものだろう。もちろん大型バスが来て、観光客が歩いていた。でも地元の人の対応は田舎の人に慣れた自分にはちょっと違和感があって、「もう塩沢はいいかなぁ」って印象だった。

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ところが最後に寄った酒屋さんがそれまで受けた印象をすっかり忘れさせてくれた。その酒屋の名前は「青木酒造」。帰ってから調べたら創業1717年。うちでも大好きなお酒、「鶴齢(かくれい)」はこの酒造のお酒で、「鶴齢」の名は北越雪譜の著者鈴木牧之が命名したものだという。

さらに鈴木牧之の次男・弥八が七代目として平野屋(現・青木酒造)を継いでいるのだ。お酒を買いもしないのに、中に通してくれて奥まで写真を写させてくれるし、こんな写真も撮らせていただいた。荷物が軽ければ一升瓶を持ち帰りたいくらいだった。

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そしてもう一つの目的は帰り道に超えることになった「栃窪峠」。この峠は昭和36年の三六豪雪の際、上越線が雪でストップし、正月を故郷で過ごそうといら立った人々が六日町駅から約6.5キロ、標高差500mの栃窪峠を徒歩で越えて十日町の家に帰ろうとした遭難劇の舞台。幸い峠下の集落の人たちの迅速な対応で数十人を救助し、一人の死者も出さなかったが、その大規模遭難一歩手前となった道を辿ってみたかった。

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峠からの展望はこんな感じ。もやがかかっていなければ魚沼丘陵から越後三山などが見渡せる素晴らしい景観。もっとも冬になれば「麓で穂が靡けば絶対に峠に上がってはならない」と言われるほどの難所で、体が浮き上がるほどの強風が吹き荒れ、峠には雪も積もらないという。

その険しさは今回のサイクリングでしっかり分かった。当時はこんな道もないしいたるところで雪崩が発生し、積雪が1mを超えていた。長靴を履かない女性もいたし、足止めで食べるものもなかったらしい。よくぞ救助できたものだ。で、今回のサイクリングは走行距離60キロで、獲得標高差が1,365m。最後の10キロが辛かったぁ。


タグ:鶴齢
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FFfreak

 36豪雪の年は、確か只見地方も陸の孤島状態になったというTVニュース記憶がありますが、栃窪峠での遭難救助は初耳でした。

 お住いの佇まいが、かって読んでいたBE-palの田淵義男さんのコールドマウンテンのお家のようです。
 ソローの森の生活でもありましょうか。

 友人にも雫石で似た雰囲気で生活をしてる人がおり、いつかはと思いつつ挫折しております。
 理由は簡単で、釣り以外の作業に勤勉になれないという性格ですから。鑑賞型なんでしょうねー。

 田淵さんも友人もフライフィッシングは生活の一部分なのに、私はほぼこれだけ一途ですからね。
 愛妻も「猫のしっぽ、カエルの手」は見るだけの都市好き人間ですから。

 友人はカントリ&ブルースバンドでアメリカ生活できないとわかるまで放浪をしたとのことで、英語とフライは現地仕込み、柔和で知性的なヒッピー風体なんです。
 フィドルを「大草原の小さな家」・ローラの父親みたいに弾くんですから。

by FFfreak (2018-06-26 03:05) 

川越

>Freakさま
36豪雪のさいは1日で120センチも積もったらしいですね。只見地方が陸の孤島になるのは容易く想像できますね。今回取り上げた栃窪峠の遭難騒ぎはテレビや新聞でもずいぶん取り上げられたようですが、ネットでも全然出てきません。私は地元の図書館で知りました。

田渕義雄さんの家って知りませんが、イメージとしてはログキャビンなんですけど、うちのあばら家とは違うんじゃないですか?(^^; ソローの森の生活は若い頃に何度も読みました。今でも本棚に置いてあります。でもどちらにしてもちょっと買いかぶりがあるような気がします。

でもフライが生活の一部っていうのはいいですね。私は田渕さんの本はあまり多く読んではいませんが、外来生物のバス廃絶運動の田渕さんの意見には同調できず、自然と手に取らなくなってしまいました。

しかしFFfreakさんの友人には個性的な人が多いようですね。でも一つのことに一途になれるのは素晴らしいことだと思います。物事に対する接し方は人それぞれですけど、なかなか突き詰めてできる人はいないですからね。うちにもギターがあるんですが、少しは練習しないとなぁ。
by 川越 (2018-06-26 07:51) 

minton

ロニのこと、知らないなんて書きましたが、よくよく思い出してみれば、Parisという多くの写真家の作品集の中に十数枚あったことを思い出しました。
先ほどまで見ていました。
確かにいい写真。立体感と臨場感のある独特の雰囲気でした。
by minton (2018-06-30 00:27) 

川越

>mintonさま
「Paris」はうちにもあったような気がします。この時代、と言ってもひと世代前くらいのちょっとした違いですけど、時代は全然違うような雰囲気がしますよね。それで余計に気になるのかもしれません。
by 川越 (2018-06-30 07:18) 

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