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いよいよ雪との戦いが始まった [いなかの伝承]

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今年はクリスマスが過ぎても雪が降らず、ずいぶん楽をさせてもらったけど、ついに降り始めてしまった。結構な振り方なので明日にはそれなりに積もるだろう。まぁ、これが本来の姿でもある。頑張ろう。

ところで、この木で出来た鍬(すき)は以前のこの家の住人が置いていったもので、そのまま使わせてもらっているけど、常々どうして木で出来ているのかわからずにいた。昔の人ならいざ知らず、現代では鉄製の鋤でも鍬でもシャベルでもあるので、わざわざ木で出来たすきを置いている理由がわからなかった。

この道具、こちらの方言で「こすき」とも言うらしい。漢字で書けば「木鋤」である。ねばりがあり、折れることなく、かつ軽いブナで作るという。「こすき」の形は鋤に似ていて刃が広い。必要な用具だからどの家でもあるし、今でも店先で売っている。

でも今では雪堀の道具は便利になり、金属製でもアルミやステンレスなどいくらでもある。雪を退かすにはエンジン付きのものもある。それでもどこにでもこの木の鋤が置いてあるのはなぜ?

それは万が一雪に埋まった人が出た場合に、いち早く掘り出すためには体を傷つけにくい木の鋤でなければならなかったのだ。金属の鋤やスコップでは体を傷つけてしまい、場合によっては致命傷にすらなりかねない。低体温症で死ぬまでわずに30分。傷つけないようにのんびりやるわけにはいかないから、こすきはなくてはならない道具だったのだ。

気がつかなかった。雪に埋もれるのは山で雪崩にあうときばかりじゃない。屋根から落ちたり、雪深いところに沈んだり。人力で助け出すには不可欠の道具だったのだ。今更ながらにやっと気がついたけど、遅すぎるよなぁ。
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ムー

寒波によるで雪の情報をTVで見ます。
帰省する人は大変ですね。
そちらもとうとう雪ですか?
どうぞ気を付けて。
東京もさすがに今日は関東の北っ風で外は寒いです。

by ムー (2018-12-28 10:10) 

川越

>ムーさま
昨晩から降り始め、今朝は今の所膝が埋まる程度で済んでいますが、この先一週間は降り続くようなので、1mは超えそうですね。豪雪地帯で少し慣れているとはいえ、やっぱり最初はちょっと気分が滅入ります。すぐに慣れてしまいますけどね。

でも雪が2mくらい積もったら、エノキを探しに行こうと思っています。木の上に出てくるキノコに手が届きますからね。こちらではまだほとんど見つけたことがないので、来年は頑張ります。(^^)/ 

東京も寒いんですね。インフルにも気をつけて、良い年をお迎えください。
by 川越 (2018-12-28 10:57) 

minton

とうとうそちらは雪が本降りになりましたね。
こういう道具はしっかりと歴史が詰まっていて納得させられます。
人の体もですが、当たりがやわらかいので傷がつきにくいですよね。
優しい道具です。
by minton (2018-12-28 18:27) 

川越

>mintonさま、あと数日でお正月ですね。

こちらではやっと本格的な雪になりましたが、今の所は予想していたほどには積もりませんでした。もっともこのあとはずっと降雨量10ミリ近い雪が一日中続くので、どこまで積もるやらです。

こういう道具は昔の人が必要に迫られて作ったものでしょうけど、その理由をちゃんと知っている人はどんどん少なくなっているんだと思います。

実を言えば、こちらに来てすぐに「どうして木の鋤を使うの?」と、複数の地元の40代の人に尋ねたことがありますが、誰も知りませんでした。

今回はたまたま150年前に書かれた本の現代語訳を読んでいたら、この記述が出てきました。吹雪に巻かれて行倒れ、隣町に移動中に雪崩に流されたなどの事例は、この辺りでもほんの20年前まではごく普通にあったと聞いています。そんな時、助けに向かう人はこのこすきを持って駆けつけたんでしょうね。
by 川越 (2018-12-28 19:43) 

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