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今季最後の軽トラ市 [イベント]

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今日は今年最後の軽トラ市。来月になると雪の心配もあるので、開催は難しい。売り上げはギリギリ赤字にならない程度だったけど、今日の刃物研ぎのお客様はけっこう難易度の高い包丁を持ち込んでくれた。

3人のお客様が全て1本だけの持ち込みだったのは助かったけど、最初の包丁は60年フグを捌いて使い込んだという尺越えの刺身包丁。ちゃんと銘のある良い造りの包丁だった。残念ながら刃こぼれが酷いのと、長年の癖が出ていてしのぎ線が大きく波打っている。当然刃線も直線にならず、一部が凹んでいるのが難しい。

刃こぼれだけならあまり気にしないけど、刃の角度が手元から切っ先まで同じに砥がれているので、切り刃の捻りが消されているのはちょっと困った。でもフグの調理に60年も使っているなら、この形を壊すのはいくら正しい形に戻したとしても良いことじゃ無いと判断して、刃こぼれをなくして刃先を整えるに止めた。

使った砥石は、ダイヤ砥石の240番で刃こぼれを取り、合成の320番で刃線の形と刃の厚みを修正、900番で厚みの微調整と形の修正、1000番で傷を目立たなくして、2000番で刃線の修正と大まかな刃付け、さらに傷消し。4000番で全体的な刃先の修正。

ここからは天然仕上げ砥石をいくつか使って切刃の見栄えを整える。いくつかの砥石をとっかえひっかえして、地金を曇らせて鋼を光らせ、鋼と地金の境も良い感じに仕上げることができた。最後に超仕上げ砥石を使って刃先と裏を慎重に出した。また持ってきてもらえると良いけど、評価はどうかな?

2本目は菜っ切り包丁。これも大きな刃こぼれがあり、「直りますか?」と心配そう。確かに小豆豆程度の半円形の穴がポロっと開いている。でもいくら大きくても刃こぼれだけなら問題ない。時間はかかるけど、これも最後は天然砥石で仕上げた。刺身包丁に比べれば手間はかからないけど、菜っ切り包丁は結構繊細な刃物なので気を遣う。

まずは合成砥石の320番で刃こぼれをなくして、すり減った鋼が出るように肉厚を削る。そのときに刃線の乱れも修正。900番でさらに肉厚を落としつつ刃線全体の形を修正。1000番で傷を消しつつ全体の肉厚を微調整し、さらに2000、4000番で鋼部分の肉厚調整と刃先調整。その後は天然仕上げ砥石で傷を消して、鋼部分を弱くならないように微妙に段刃にして、刃先1ミリほどを3段に整えて仕上げた。こちらも評価が気になるけど、また来てくれると嬉しい。

3本目はステンレスの包丁で「砥げないから」とお願いされた。確かにステンレス包丁は厄介なものが多いけど、一番困るのが硬すぎて砥石で砥げないもの。ところが荒砥を当てると簡単に削れる。「?」と思ったが、どうもこの柔らかさだと研いだ時の刃返りが取れないのだろう。

粘りのあるステンレス包丁は、あまり細かい番手だと刃返りが取れなくて難儀する。でもこの包丁はその点でもあまり苦労がなく、そこそこ細かな番手で仕上げることができて一安心。

今日は3本と例外的に少ない研ぎだったけど、刺身包丁と菜っ切り包丁はいろいろ勉強になった。個人ではなかなか経験できない経験ができて良かった。

写真は会場に来てくれた「十日町着物女王」の二人。自分のスナップ写真では例外的な、声をかけて撮らせていただいた。
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minton

ヘンケルのステンレスの包丁があるんですが、これは叔父からのプレゼントなので使っています。
妻はV字型の簡単に研げるやつをどこからか買ってきてたまに使っていますが、これがすぐに切れなくなります。
これを使ったせいか両刃っぽくなっていて、あまり逆らわずに砥石で研ぐんですが、ちゃんと研ぐと切れ味はかなり良くなります。
手間をおしんじゃいけませんね。
by minton (2021-11-15 18:47) 

川越

> mintonさま
ヘンケルの包丁は刃の付け方がちょっと特殊ですよね。片刃ぽいというか。でも元の刃の付け方をなぞるように研いでいれば良いと思います。ステンレスでも良い包丁は切れ味も鋭いです。道具と同じで手間をかければちゃんと応えてくれますね。
by 川越 (2021-11-15 19:00) 

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