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新しい中古砥石 [道具]

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先日ヤフオクで良さそうな中古砥石のセットを見つけたので入札していたら、思いがけず落札してしまった。思いがけずというのは3本で1,600円という安さなので、まさかこの値段で落札できるとは思わなかったため。

上の写真を見てもらえばわかるように、まともな形なのは左の1本だけ。真ん中のものは古いレンガが壊れたのかって代物だし、右のはかなり擦り減って変形している。

右は青砥と呼ばれる中砥で、かつてはあちこちで採掘できたらしいが、現代でも通用する砥石は少ないようで良いものに出会うのは難しい。

真ん中の崩れたレンガは愛媛の伊豫砥か、熊本の備水砥と思って入札したが、左は長崎か和歌山の大村砥というすでに採掘を止めた荒砥で、現代のステンレスメインの刃物を研ぐと石だけが減るような代物。どれもこんななので、あまり興味のない人は手を出しづらかったのだろう。

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どれも古いものらしいので、洗って少しだけ平面を出してみた。するとレンガの壊れたような砥石は、綺麗な細かい縞模様がでてきた。とても柔らかいけど、目の細かい粘りのある砥泥が出るが、いくつか刃物を当てていると伊豫砥の古い荒砥のような気もしてきた。贔屓目たっぷりだけど、これは伊豫砥の中でもなかなか見つからない部類の石じゃないだろうか。

大村砥も大きなものは少なくほとんど目にしないけど、荒砥の割に目が細かいし、炭素鋼はそれなりに研ぐことができる。でもこの砥石は他の砥石の面を均すのにととても具合がいいので、その用途で大きなものが欲しかった。

当たり外れの大きな青砥も目が細かく、硬めで、包丁などはこの砥石だけで仕上げても問題がないくらい。こうしてみるとどの砥石もとてもいいもののように感じて、古い貴重な砥石を安く出してくれた出品者に感謝しなければいけない。

思えば昔・・・と言ってもほんの半世紀前までは、どの家庭にも野菜を切る菜切り包丁と魚をさばく出刃包丁は普通にあって、切れなくなれば砥石で研がれて使われていた。砥石は誰もが使うものだけに悪いものは自然と淘汰され、今よりはずっと良い石が当たり前に流通していたのだろう。
タグ:天然砥石
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