新潟県中部の魚沼地方では、吹雪の晩になると「ヤサブロバサ(弥三郎婆)が来て、悪い子を連れて行く」といい、子どもたちが恐れていたが、他地域では子どもを守る妙多羅天女として信仰されていたり、仲人をしたりと伝承も多様だ。

「ヤサブロバサは風の吹く日にあらわれる」と伝承されているところが多く、新潟県南魚沼郡では、風の神様が信仰されている。神様は「風の三郎さま」と呼ばれているが、同じように風を奉るのは先日行った、越本の無風安全を願う「風祭り」に通じるものがありそうだ。

ヤサブロバサの伝承が、なぜこれだけ広がりを持って伝えられていったのか。多種多様な性格を持ち、それぞれにまつわる伝説も付随している。それらは一見バラバラな伝承のようで、つながりがないようにも思えるが、最終的に弥彦に戻ることなど、関連性がみられる部分もある。

ヤサブロバサの信仰の中心となっている弥彦山系には、国上山があり、国上山の国上寺では酒呑童子がいた。酒呑童子は国上寺を追われてから、黒姫山、戸隠山、比叡山を転々として大江山に至る鬼です。そういえば戸隠の鬼無里にも行ったなぁ。

そうそう、上で越本の話しを出しましたが、越本と言えば小さな墓地がたくさんあると書いた記憶がありますが(http://photo-bici.blog.so-net.ne.jp/2012-09-14)、どうやらその理由は次の一文に通じるような気がします。というのは、弥彦神社周辺の家に仏壇はないそうで、埋葬も寺の墓地に埋めるのではなく、持ち山の山林に一人ずつ土葬していたというのです。それと同じように、それぞれの家で埋葬していた名残なのでしょう。

来週頭にはまた新潟県十日町の松代に行って来ます。今回はキノコ狩りですが、やっぱり十二社がいくつかあるようです。でも大きな信濃川があるせいか、こちら側には少ないような。