SSブログ

ゆき峠 [いなかの伝承]

_DSF4503-down.jpg


美しい名前の小さな峠、「雪峠」については過去に何度か取り上げていて、「雪峠 https://photo-bici.blog.ss-blog.jp/2018-11-22-2」でも伝承を書いている。その伝承の印象が強くて、峠とも思えないような小さなこの坂道を抜けるとき、いつもこの地に伝わる悲しい話しを思い出す。重複しますが、その伝承は概ね次のようなもの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昔々、池ケ原と芋坂のあいだの峠に一軒の茶屋がありました(池ヶ原とは雪峠の西にあり、芋坂は東にあります)。

茶屋は「おゆき」という美しい娘と父親の二人で切り盛りされていたが、この峠の茶屋はたいそう繁盛し、父親は「おゆき」を眼の中に入れても痛くないほど可愛がっていた。

親娘の生活は一見平和そのものだったが、父は峠を通過する金持ちの旅人を見ると途中で殺して金品を奪っていたのだった。おゆきはそれをまったく知らなかったがそれも長くは続かなかった。

ある時、早めにお客がとだえた。父の姿もいつの間にか見えない。おゆきは父を探しに行くと、たまたま例の行為を目撃してしまった。おゆきは驚き悲しみ、
「あんなことはやめて下さい」と何度も頼むが父は聞き入れない。

ある日、おゆきは旅人の支度に身をかため、夕暮の峠道を登って行った。父はそれを見ると「小柄だが金持ちらしい。いいカモがきた」と、いつもの所で一刀のもとに斬りつけた。

笠をとると、旅人の正体はおゆきだった。 父は驚き悲しみ、深く後悔して僧侶となり、自分が手にかけた旅人の冥福を祈って一生をすごしたという。それ以来、この峠を「ゆき峠」と呼ぶようになった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

写真は相棒と買い物に出かけた道中の「雪峠」の頂近く
レンズは借り物の Carl Zeiss CONTAX PLANAR T* 135mm F2 AEG
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。