いつでも欲しい本がいくつかあるが、そのうちの一つ「道具曼荼羅」が手に入った。40年前の発行で当時の値段は3.800円。おいそれと手の出る値段ではなかった。もちろんその当時この本の存在など全く知らなかったことは言うまでもない。

今でもアマゾンや古本市場などで出てくることはあるが、8,000〜10,000円位以上の値段が付いていることが普通で、なかなか手が出せないでいたが、運良く表紙に軽く痛みがあるということで、1,700円で手に入れることができた。本の内容はいわゆる手道具、大工道具の写真とその道具に関わる文章がついになっている。

過去の名作と呼ばれるものが多いが、大事に使われて消耗し、消えていく道具たちの物語は興味のない人でもつい引き込まれる魅力を秘めているように思う。以下にいくつか出ている玄翁のうち、一部の文章を抜粋してみる。
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頭の重さと柄のバランス。これがゲンノウの生命だともいう。鍛治は柄の穴あけに秘術を練り、大工は自分の体にあった柄の握りの形、太さ、長さなどを工夫する。他人のゲンノウでは仕事ができない。今日でいう人間工学。人と道具の、きびしく、また微妙な関係がじつは最も原始的で、最もかんたんなゲンノウの中で永い歴史をかけて追い求められているのである。
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まあ、よくあるウンチク物と捉えてもいいかもしれない。シリーズとして、続道具曼荼羅、新道具曼荼羅なども同様の内容で、どれから読んでも楽しめる。