イタリアのドロミチ山塊には印象的な山岳が連なる。2005年、セッラ峠に向かう途中の峠道で車に揺られながら目にした何気ない山小屋は、放牧のためのものだろう。今では使われていないのか、屋根の石は大方飛ばされたのか、雪で流されたのか、半分は残ってはいない。


5月末のイタリアの田舎で、小さな川を見つけた。すぐにルアーを投げてみると、ナマズのような魚や、フナのような魚が次々と顔を出す。夕刻の一時をそんなふうに楽しんでいると、いきなり川辺の木々から綿毛が雪のようにゆっくりと降り始めた。やがてその綿毛は雨のように降り注ぎ、川面を覆い尽くした。