先日山梨に行ったときに笹子峠に行ってみた。昔、この峠の下を流れる笹子川で初めてアマゴを釣った思い出の場所でもあるが、今回は川のずっと上を目指すことにした。

東京に住んでいると、西方へ旅にでるとなると甲州街道(国道20号線)を下ることとなる。いまでは交通量も少なくなったとはいうが、残念ながらゆったりした気持ちで走るわけにはいかない。トラックも多く道幅も決して広いとはいえないのだ。そして現れるのがこの笹子峠だ。

標高1,096m。甲州街道の江戸〜下諏訪間のほぼ中間点にあたり、同街道の最大の難所といわれたらしい。しかし今回は甲州市側まで中央線を利用して、甲斐大和駅で下車。かつての駒飼宿を見ながら都内に向かう形で上ってみた。宿の入り口には野仏群があり、むかし盗賊に襲われ胴体だけになった巡礼僧を供養した地蔵だという。険しい峠と言えば山賊の類いはお決まりだったのだろう。

険しい峠の前後には宿場があるのが街道のセオリーで、駒飼宿は小さいながらもかつては6つの旅籠と本陣、脇本陣があったという。茅葺きの痕跡の残る立派な柱が見える民家は、かつての旅籠の跡だろう。

鬱蒼とした杉林を行くと途中に3カ所の茶屋があったというが、いまはその痕跡もない。ただ立て札がその場所を記すばかりだ。峠までは7.5キロ。車もハイカーもほとんど会わなかったが、頂上のトンネルは予想以上にきれいだった。