月初めに裁ち鋏の研ぎを2本頼まれていた。実を言えば裁ち鋏は研いだことがないのでお断りしたけど、今より切れるようになればということで預かってきた。例によって作業前の写真を忘れたけど、かなり錆が浮いていて全体がほぼ茶色。1本の方は数カ所刃こぼれがある。たぶん子供が硬いものを切ろうとしたのだろう。丸く欠けているので針金でも切ろうとしたのだろうか。


作業は全体のサビをできる限り落として、刃先を切れるように研ぐだけ。片刃の刃物を研ぐのとさほど変わりはない。でも問題は、裁ち鋏の場合は2枚の刃物を交差させて(刃と刃を接触させて)、生地を切るところ。2枚の交差する刃物はお互いに内側に湾曲している。

これが研ぎすぎることで隙間が開くようになってしまうと、いくら刃先が鋭利でも生地は切れない。経験がないし知識もないので、この湾曲の修正方法がわからない。なので今回は細かい刃こぼれは修正できたけど、1ミリくらいある大きな欠けが修正できなかった。

刃先を1ミリ減らしたら間違いなく刃先が当たらなくなるはず。多分湾曲を調整して当たるようにすればいいんだけど、鋼の曲がり修正は素人では難しい気がする。小刀や片刃の包丁でも古いものは軟鉄が鋼に引っ張られて曲がっていることがあるが、うまく修正できたことがない。プロの人は叩いたり、曲げたりして修正しているけど、見るほどやさしくはないので、今回はこのままでごめんなさいとなった。少し勉強しなければ。