帰りのほくほく線の車窓から

今回小旅行で訪れた松代は、かつて上杉謙信が関東出陣のための軍用道として整備したという松之山街道が通っている。その後は一般人の街道の宿場町として栄えたのか、広い通りにはいくつかの古い宿屋も残っている。

だがいまでは人通りも少ない小さな集落と呼べるほどの町で、マウンテンバイクでもすぐに通過してしまうほどの集落だ。おそらく豊かな自然以外はほとんどなにもないけど、意外と地元の人は田舎の人にありがちな排他的な部分がなく、どちらかといえばオープンな印象を受け、私も相棒もかなり気に入ってしまった。

ちなみにこの松代という土地、雪が少なくなったといわれる新潟でもいまだに豪雪地帯らしく、いまでも町のあちこちに山のような雪が残っていた。それでも雪の多さが春の山菜の豊富さを物語っているわけで、たぶん山ではキノコもたくさん獲れるのだろう。ブナの綺麗な「美人林」が近いが、裏山のブナ林が観光名所になりそうなほど綺麗なブナの雑木林だった。

残念ながら渓流釣りの場所が見つからず、地元の人に聞いても釣りができる川がないらしい。今回もいくつかの川を見て来たけど、山が険しすぎてとても魚が上がれる渓流ではなく、ルアーを投げても逃げる魚も追って来る魚も見ることができず、やはり魚がいないと判断するしかないようだった。まあ釣りができる川は信濃川周辺にまで足を伸ばせばいいので、残念だけどしかたがない。

ところで旅行のもう1つの目的は、移住のための古民家探し。今までの経験から、なかなか見つかるものではないが、地元の人と仲良くなれれば意外と見つかる事もわかっている。今回はなかなかそんな機会もなく諦めていたのだが、最後の日に訪れたパン屋さんで思いがけない出逢いがあった。

このパン屋さんは、「まちのパン屋さん ひまわり(http://www.matsudai.com/syoukoukai/himawari/index.html)」というのだが、ほんとに町の外れにあって目立たないが、若いご主人が都内のホテルで7年間のシェフ経験を生かし、お母さんの地元松代に移住したパン屋さんらしい。パンはとても美味しかったが、すぐに売り切れてしまうようで数がないのが残念だった。

たまたまここでいろいろお話をするうちに、お母さんと私はほとんど地元同士であることが発覚。話しも弾んで、なんと適当な古民家があったら教えて頂ける事になった。

この辺りはなかなか民家を貸す文化風習がないようで、外から来た人は家を借りて住むのが難しいらしいが、地元の人が探してくれるなら話しが早いかもしれない。もっとも「捕らぬタヌキの・・・」ではある。今すぐに見つかっても困ってしまうが、相棒とふたりして喜んでいるのも確かだ。