12月からいきなりの豪雪に見舞われた田舎暮らしも、日曜日からは気温も上がりそうでどうやらやっと春の兆しが見えて来たような気がする。たぶん雪下ろしに帰ることはとりあえずはないんじゃないだろうか。

あとは降り積もった雪が「ほんとに全部溶けるの?」ってくらいあるので、これがなくなるのを待つばかり。でもその間、薪ストーブにはまだまだ頑張ってもらわなければならない。

その薪ストーブだけど、一冬使ってみて感じたのは薪ストーブ自体はとても良いものだと思うけど、使うのはやっぱりかなり選ばれた環境にいいる人だってこと。たとえば雪下ろしをしていると、100mくらい離れた家の煙りの匂いがすることがあるし、もちろん自分の家の煙りが目に滲みることもある。雪が薄く汚れていることもあるので、白い洗濯物が外に干してあれば汚れるだろう。

幸い私達の町では冬に洗濯物は外に出せないし、回りに何軒も薪ストーブを使う家があるので、煙りにも匂いにも馴れている人達なので問題はいまのところはない(たぶん)。

部屋にしてもある程度の広さがないと思うように薪を燃やせないし、中途半端に燃やしていると完全燃焼できずにススやタールが出やすくなって最悪の場合煙突火災になるし、部屋の温度調整も難しい(でもだいぶ使い方がわかって来た)。

窓の大きさや家の断熱の具合もかなり影響するし、エントツの出し方にも効果的な長さや位置があって、あまり気温が下がらないところでは煙突効果も少なくなって煙りが逆流しやすくなる。もちろん煙りが逆流すれば部屋の中は薪の匂いがついてしまう。

薪の準備にしてもチェーンソーを使うと相当な騒音があるし、斧を使った薪割りもパカンパカンと割る方は気持ちが良いけど、これも意外とけっこうな音がする。自分たちには心地よい音や匂いでも、他人にとっては我慢ならないと感じることもあるはず。

そう考えると回りが山に囲まれた一軒家は当然として、それなりに薪ストーブに対して馴れている住民が多いこと、チェーンソーなどの騒音も日常的に感じられる地域、匂いや煙りに対して神経質でない人々の気質などがとても大事になるんじゃないだろうか。

昔はともかく、いまは畑でたき火もできないし、薪割りの音がうるさいと裁判沙汰になる時代。「お金を出せば」とはまた違う面があるので、広い庭があるからと街中で薪ストーブを使う家がいろいろと問題になっているのは当然だろうなぁと感じる。そういえば今年、パリを含むイル・ド・フランスでは薪ストーブの使用は禁止されたんじゃなかったか?暖炉だったかな?もっともこれは大気汚染対策らしいけど。

偶然にも私達の家は回りに家があるとはいえ、同じような薪ストーブを使う家も何軒かあり、チェーンソーなどの音にも神経質ではないし、匂いに対しても「薪を燃やしているんだから」と、当然のような反応のようで有り難い。ネットでは薪ストーブの良いところばかりがアピールされているように感じるけど、現代の人里では、田舎と言えどもなかなか環境に恵まれたところは少ないのかなと感じる。

でもそれらの条件がクリアされれば、薪ストーブはやっぱりとても良いものだと思うし、優しい暖かさは体の芯から暖まって「導入して良かったね」とはいつも相棒と話している。できれば近くの山でも借りられれば(買えれば最高だけど)、焚き付けの薪ひろいもできるし、倒木を利用することもできるんだけど。いまのところ、薪ひろいをしていて咎められたことはないけど、追々これもなんとか実現したいものだ。