昨日、無事に山から戻ると、オオムラサキさんがまたしても「携帯がない」と言い出した。どうして同じミスをすぐにするかなぁと思うが、宿にあるかもしれないということで別れた。だけどやっぱり宿にもなかったらしい。

今日は朝からずっとけっこうな雨だし、一度落としたものが山で見つかったのは奇跡に近いし、それをもう一度初めての山でやるのは無駄という気もした。でも本人にしてみれば大事なデータもあるだろうし、見つからないまでも一緒に探すことが大事と思うことにした。

とりあえず最初に入った山にはない。次の山にもやはりない。いや、あったとしても小さな携帯など、草や枯れ葉の中でそうそう目に止まるもんじゃない。そして最後の山は昨日オオムラサキさんが迷子になった山だ。

途中までは一緒に登った同じルートを辿るが、最初に舞茸を取ったところにはやはりない。そのあとはオオムラサキさんがどのルートを通ったのかわからないので探しようがない。自分でもわからないというので、オオムラサキさんをその場に待つように言い、もう一箇所の採取したポイントに向かう。

実はなんとなくここになければもう見つからないという予感があった。ミズナラの大木の崖側に回り、下の方から目を凝らす。すると落ち葉に半分隠れてなにやら赤いものが少し見えた。慎重に降りて枯れ葉を退けると、なんとそこにはオオムラサキさんの携帯!「山の神様ありがとう!」この山に入る前に、山の神様にお願いしたのが通じたようだ。

こういうことは思いようだけど、数年前に裏山にカメラを持って行き、いつの間にかカメラがないことに気がついたことがあった。夕暮れだし、もう見つかるはずはないと思いつつも、いつも山に入る時に手を合わせている、自分が勝手に山の神様と呼んでいるブナの大木に、「カメラを山の中で落としてしまいました。探しに行くので怪我をせずに戻って来られますように。おねがいします」と手を合わせた。

お願いを済ませ、下を向いて歩き出す。するとそのほんの20mほど先に、なんとカメラがポツリと地面に置いてあるかのように落ちているのが目に入った。こんな偶然もあるのが山の面白いところ。

今回の携帯紛失も、最初の携帯紛失も普通なら見つからない。それが見つかったのはやっぱり、山に入る前に神様に安全をお願いしたり、探し物が見つかるようにお願いしたからじゃないかと、自分では密かに思っている。

それに昨日は自分も帽子を紛失した。観光地の林で整備されているのですぐに見つかると思ったのに、2度繰り返し見て回っても見つからなかった。こんなこともあるけど、これは山の神様が欲しかったのだろうと諦めた。

そのおかげか、今日はアブラシメジが10本くらい見つかった。大きなキノコなので1本でも十分だけど、ヌメリがあって鍋などには最適。それに今日は相棒が鍋にしようと言っていたのでちょうど良かった。