今日、相棒から「また斧が来たよ」と教えてもらった。実は先日ヤフオクで興味深い36センチの小型斧があり、直接交渉で譲って頂いたもの。見れば土佐モノは間違いなさそうだけど、銘が「國光」とある。

こういうものは偽物もあるらしいけど、それを見分ける目はないのでどうなるかわからない。この「國光」、本名は元治元年(1864年)生まれの都筑斧助という。こちらの方がよっぽど斧鍛冶らしい気もするが、それはさておき・・・。

この斧助さん、刀鍛冶について修行したものの、明治の廃刀令で食うことができずになんでもやる鍛冶屋になったらしい。そんなんで腕がいいのはもちろん、器用になんでも作っていたらしい。

しかし土佐といえば斧や鉈などの技術に優れた土地柄。土佐の鋸や斧、鉈は九州から北海道までどこでも使われていた。その土佐で名をなすくらいだから、相当に良いものを作っていたのだろう。中でも秦泉寺は鉈鍛冶の多いところだったらしいが、その元祖が斧助さんだ。

そんなこともあって斧助さん以降の弟子の系譜は比較的ちゃんと残っている。その系譜の一番上にあるのが斧助さんのブランド「國光」だ。もっともこの銘はいまでもあるので、これまでにも代々修行した人達が受け継いで行った銘なのだろう。その何代目の「國光」なのかはわからないけど、名の入れ方や材質などである程度は想像ができるかもしれない。

元祖國光の時代、できたものに名を入れるのは当然タガネによる手打ち。打たれた文字の形も「國光」のものだし、斧も手打ちのようだし、もしも本物(初代)なら鉄も和鉄に和鋼が使われているはず。ということで、今回の入手となりました。

早く帰って現物を見て研いでみたいけど、今しばらくの我慢。ですが、相棒には「斧は他にもあるでしょう」といわれてしまった。実は会津最後の鋸鍛冶に、ノコを注文していてそれも日曜日には届くはず。

その話もしたら「ノコギリはたくさんあるでしょう!」と怒られた。そりゃあそうなんだけど、「用途が違う」なんてことは女には通じないんだよなぁ。