男にとって道具と言えば刃物や工具の類を連想するけど、女にとっては道具というより、「お道具」というニュアンスなんだろうか。なんてことをいっても、「なに言ってんの?ただのクシでしょ」くらいのことを言われそうだ。

この本つげの櫛は相棒の誕生日にプレゼントして丸2年、ほぼ毎日のように使ってくれていて、箱はだいぶ痛みが出てきたけど、櫛自体はまだほとんど新品に近い状態。あと5年も使い続ければ、少しは使われ続けた時が重なり、貫禄が出てくるのかもしれない。

この櫛を買うとき、実は大事に使われてきた中古の櫛をいくつも見てみた。たぶん数十年も使い続けられた後に持ち主が手放したのか、飴色でいて決して薄汚れた感じがしないものだったけど、どこか手を出すのが憚れられるような雰囲気があるものも多く、新品を買うことにした。

男の道具と女の道具、うまく言葉にできないけど、女が長年大事にしてきたものにはどこか怨念というか情念というか、男とは違った雰囲気があるように思う。まっ、男の勝手な妄想だろうけど。