してはいけないことはしない
『「してはいけないことはしない」のが日本人のもっとも特徴的で高貴な規律だ』。という一文を見つけた。江戸時代以降、日本に訪れた多くの外国からの使者が残した書物にも、いくつもの例が残されているという。
一例を挙げると、かつて日本は混浴だった。混浴なのに女性がなぜ酷く困るようなことがなかったかといえば、風呂で日本男児は決して女性の方を見なかったからだそうだ。だからといって、もちろん性欲がなかったわけではない。
風呂場で女性の方を見る男性は、他の男性に「おまえ、そんなケチな事をしやがって!」と、ゴツン!とやられたらしい。当時、女性が着替えるときに部屋に鍵をかけるということはなかったが(そもそも鍵そのものもなかったかもしれない)、女性が着替えるのを見ようとするような男性はこれも殴られたからだ。
最近ではyoutubeで、日本の道路に置かれている台車に載せた荷物が、いつまでたっても盗まれる事なくその場に置かれている事に対して、「日本ってすげ〜!」という多くの反応があり、「日本では落とした財布やカメラがそのまま見つかる事が珍しくないんだ」と、これもまた驚きの表現でコメントされていた。
海外では「騙せるやつがいるのに騙さないのはバカだ」とか、「盗める金があるのに盗まないのはバカだ」という声を聞くこともあるが、日本は今でも「してはいけないことはしない」という、自己に対する規律がまだ守られている貴重な国なんだと思う。
思えば自分の子供の頃は、殴られるのは珍しい事ではなかった。しかられるときは口より先にゲンコツが飛んできたものだった。場合によっては理由の説明がないこともあったかもしれない。それが自分で考え、判断し、してはいけないこととして学習されて行ったのだろう。
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島国で農耕民族ってサガがあるのではないでしょうか・・・
あと、悪い方に作用すれば「ムラ八分」とかそういうキツ~いお仕置きが待っていたりする可能性もあるし・・・
by nakky (2012-06-20 15:08)
>nakkyさま、こんにちは。
私は詳しい事はわかりませんが、きっと島国というのはなにかしらの影響はあるでしょうね。村八分というのも、生きて行くためには必要なルールだったのかもしれないし。でもやっちゃいけないことは、やせ我慢してもやらないっていうのも、ひとつの考え方だとは思います。
by 川越 (2012-06-20 17:53)
これは確かに日本人の美徳ですね。
儒教の理想的な世界です。
道ばたにモノが落ちていても誰も拾わない。
でも外に出てそれをすると痛い目に。
by 上海狂人 (2012-06-20 21:29)
>上海狂人さま、こんにちは。
江戸時代くらいまでの日本人は今と比べるとずいぶん良い人達にも感じますが、やはり時代とともに変化するのは仕方のない事でしょうね。海外の常識と日本の常識はあらゆるところでズレがあるので、確かに注意が必要かもしれません。
by 川越 (2012-06-20 22:05)
自分も子供のころ、銭湯で社会というものを学びました(笑)。
by Tajiri (2012-06-21 06:24)
>Tajiriさま、おはようございます。
そういえばうちでも子供の頃はよく銭湯にいきました。銭湯でもいろいろ覚える事がありましたね。懐かしいです。
by 川越 (2012-06-21 09:02)
昔の混浴では、そういう規律があったのですね。
「してはいけないことはしない」、やはり、周りからそのように躾けられてきたと思います。
by TR1964 (2012-06-21 21:00)
>TR1964さま、こんばんわ。
昔の日本はいろいろな面で今とは違う感覚だったんでしょうね。それも一部の人間だけじゃなくて、多くの人が同じようにやっていたから、自然とそんな当たり前の事ができるようになったんじゃないかと想像します。いま同じことをやったら、すぐにあちこちで衝突が起こりそうです。
by 川越 (2012-06-21 23:49)
大変良いエントリでした。ありがとうございました。
by やっ (2012-06-26 09:37)
>やっさま、こんにちは。
どうもありがとうございます。(^^)
こういう一面がまだ残っている日本は、捨てたものではないですね。
by 川越 (2012-06-26 20:00)