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時代物の肩掛け [道具]

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道具というにはちょっとジャンル違いかもしれないけど、生活必需品ということではこれも立派な道具なんじゃないかと思うのですが、先日廃材をいただいてくるときにいつものように背負子を背負っていったところ、その家のおばあちゃんが「まさか背負子で運ぶとはねぇ」と言って、いろいろ昔話をした。

もう80代のおばあちゃんだけど、彼女が子供の頃に使っていたのは自分のものとはちょっと違う形の(上の写真の一番右のもの)背負子だった。大人用、子供用、女用と大きさがあったようで、家族総出で稲を運んだり、カヤや焚付けを運んだらしい。

写真では分かりづらいけど、一番右がこの中では最大だけど、かさばるものを運んだ道具なので、この大きさでも中くらい。つまりは女性が使っていたものだ。男用にはさらに背の高いものがある。材質は多分杉の木で、比較的軽めにできている。

藁のように軽めだけど嵩張るものを運ぶ背負子にはショルダーがなく、代わりに頭を通す輪っかが付いている。その輪っかを顎の下で両手で持って、引っ張りながら運ぶわけだ。だけど、どうしても縄が当たる肩が痛くなる。そこで藁で編んだ肩当てが必要になり、それも大人用から子供用までが作られていたらしい。
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自分が使っている背負子は重いものを運ぶためのものでしっかりショルダーがあるけど、長時間運ぶとやはり肩が痛い。それを見ておばあちゃんが昔の肩当てを出してくれた。家によってつくり方が違うようで、いただいたものは藁にボロ切れを織り込んでいる。この方が丈夫になるし、肩への当たりも柔らかくなる。

以前、大人用のものをいただいてきたけど、今回頂いたものは自分にちょうどいい大きさのようだ。それにしても昔はどこの家でもこうして藁で肩当てやわらじ、雪用の長靴、米俵、ミノ、大量の縄などを作っていたわけで、そのための干した藁が屋根裏にどっさり入れてあった。

この辺りの米俵は質が良かったらしく、米俵欲しさに北海道などから米を買いに来る人もいたそうだ。というのも、米俵を編む際には何目ごとに藁紐を通すなど、大きさや強度などが厳しく取り決められていたからだそうだ。

「小さな家では暮らしていけなかった」とは他の年寄りにも聞いたけど、生活必需品を作る藁を置くスペース、冬の囲炉裏で燃やす薪のスペース、燃えやすい焚付けを置くスペース、編み上げた米俵やムシロ、藁紐、わらじを置くスペース、かんじきを作るための竹、農具を置く場所などなど、狭い家ではそれこそ寝る場所もなくなる。

かといって広い家では屋根の面積が大きくなり、雪掘りの重労働が増えてしまう。「冬は藁と藁埃の中で生活をしていたけど、一体どうやって生活していたのかねぇ」としみじみ話をしてくれた。ほんの半世紀前のことだけど、この100年で考えられないほど生活は変化したのだろう。
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