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刃物研ぎのスランプ・原因と対策 [研ぎと目立て]

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先日も書いたように、この半年くらいはどうも刃物の研ぎが下手になったように感じていたけど、その理由は次のようなもの。

1・仕上げ研ぎをしても前のように思うような切れ味が出ない。

2・砥石の面だしはやっているのに、包丁は仕上げられても、カンナ、ノミ、小刀の刃先が研げない。

3・中砥石までは刃先が当たっているのに、仕上げ砥石になるとなぜか当たらない。

4・まったく切れないわけじゃなく、髪の毛を勢いをつけて切るような刃は付く。

超仕上げの前までは刃先まで当たってかえりも出ているのに、仕上げに入ると刃先の一部(10倍のルーペではほとんどわからず、60倍でわかる程度)が砥石に当たらない。もちろんかえりも出ない。砥石も刃物も同じ、研ぎ方は多少は進歩しているはず、それなのになぜ? スランプの原因がわからないので脱出不可能状態。

最初は砥石の研いだ泥の粒子が刃先に当たって刃を潰しているのかとか、砥泥が刃先の下に入り込んで刃を浮かしているのかなどと考えて、とにかく丁寧に動きを小さくしたり力を抜いたりしたが効果なし。原因が全くわからなかった。

これの原因じゃないかと思いついたのは、仕上げ砥石の中でも特に超仕上げとしている砥石の平面を丁寧に出していたときだった。刃先が当たらないのは単純に平面が平面でなくなって、ごく微妙に刃先が丸まっているからじゃないのか?

でも仕上げ砥石の前までは当たるのはなぜ?
多分この時にも平面は出ていないのに、砥石の粒子が仕上げ砥石の粒子よりも大きいので、微細なゆらぎのような誤差を埋めてくれているんじゃないだろうか?

包丁で問題がでないのは線の研ぎ、点の研ぎになるので、嫌でも刃先が砥石に当たり、平面の乱れに気がつかなかったのでは。

つまりスランプの原因は砥石の平面が崩れていたためじゃないか。もっと下手っぴだった頃は砥石の平面だしもストレートゲージを使ってかなり神経質にやっていた。それがある程度切れる刃が付けられるようになってからは、平面出しにも慣れてきてストレートゲージを使ってはいるけど、なんとなく「まあこれくらいならいいか」っていう妥協があった気がする。

刃物もある程度の平面が出せるようになり、油断があったかもしれない。天然の仕上げ砥石は研いでも微細なかえりしか出ないのに、さらに極力かえりは小さくしていたので、指で触っても判断は難しい。ここでも自分では刃先を当てているつもりになっていたようだ。

多分自分の研ぎも少し上達してきて、平面の部分は平面で研げているので、刃先の微細な狂いが狂いとして出てきたのではないだろうか。以前は手が決まらなかったので、手先が微妙にブレて刃先も砥石に付いたり離れたりし、結果的に刃先全体の半分くらいは砥石に当たっていたのだろう。それが多少上達して平面はそのまま研げるので、平面になっていない部分はいつまで研いでも砥石に当たらないという理屈だと思う。

わかってしまえば基本通り、ダメなのは手を抜いたからだけど、ずいぶんシビアなところまできたものだと、ちょっと自分でも感心。でもまだまだ包丁の研ぎもできないことばかりで、研ぎは難しい。でもとりあえず、切れる刃先はできるようになりました。
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コメント 2

minton

刃物って難しいですよね。
水泳の萩野公介さんがスランプですが、ほんのわずかなことなのにそれが見つけられないのでしょう。
わかっていたはずのこともわからなくなるってこと、あるんですよね。
分析して悩んでやがて見つかってしまうとあっけないってことあります。
by minton (2020-02-17 11:09) 

川越

>mintonさま
私は根気がないというか、集中力が続かないので、ちょっとできるようになるとすぐに油断して楽な方に行ってしまいます。わかっているんですが、なかなかそれが修正できません。

今回のことは同じようにやっているつもりでいたのに、振り返ってみればチェックが甘かったのが原因でした。初心の時にやっていたことができれば、ちゃんとそれなりに自分の実力通りのことができたのに、やっているつもりでいただけでした。

やっているつもりだったので、なかなか原因を見つけることができませんでしたが、これもいい経験になったように思います。でもまた次の壁が出てくるんでしょうね。当たり前のことですけど。
by 川越 (2020-02-17 16:35) 

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