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また「つんぼ」が・・・ [研ぎと目立て]

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先日斧を3本、ナタを4本、鎌を8本「使えるなら研いで欲しい」と持ってきてくれた中に、2本のいい感じのナタがあった。

研ぎの依頼をしてくれたのは10キロほど離れた隣の集落の人で、40年ぶりに今年故郷に戻ってきたという。田舎暮らしを始めるにあたり、古い道具を使えればといろいろ持ってきてくれたのだが、そのナタの1本は「前田屋」とある。「前田屋」は今でも私の住む集落にある金物屋で、古くからあるお店らしい。

そしてもう1本が先日も紹介した「つんぼ」のもの。でも自分が持つナタとは微妙に造りが違うので、多分同じ人の作ではないと思う。どちらが先のものかも判断はつかない。

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でもこの「前田屋」と「つんぼ」のナタは、握りの部分は違うけど、刃物部分はどうも同じ鍛冶屋のものに見える。「つんぼ」は今の上越市にあった鍛冶屋で、「前田屋」は今も地元の松代にある金物屋。

想像でしかないけど、たぶん「つんぼ」で作ったナタを「前田屋」のオリジナルとして販売していたんじゃないだろうか。今でいうならOEMかな?

昔からこういうことは行われていたようで、古い土佐の鍛冶屋の記録にも「銘」を変えていくつかの店舗や卸業者に出荷した話が残っている。その際には卸問屋や商店の名前を入れたり、松、竹、梅のようにカテゴリー分けした名前をつけたという。

それにしてもお隣とは言え、いまや貴重でなかなか目にすることもない「つんぼ」の道具がいくつも目の前に来るとは、びっくりするやら嬉しいやらだ。
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minton

昔の人はいい仕事をしてますね。
それぞれの地域に隠れた名工がいたと思います。
by minton (2022-08-06 16:16) 

川越

>mintonさま
こんにちは。「つんぼ」の刃物は特に鉞が有名ですが、厚物刃物全般に評判が高く、なかなか現物を目にする機会がありませんでした。それが先日表んなことから自分の手元に来たと思ったら、今度は別の方から2本研ぎの依頼が入りました。
今回研ぎの依頼をしてくれた方は、現在の上越市との境にある「峠集落」に代々住んでいた方で、昔は峠集落辺りはもちろん、この辺も上越との交流がメインだったと聞きます。峠集落は名前の通り峠にあり、ここを越えれば上越です。
ここもいわゆる限界集落で、すぐ隣には集落の全員がまとまって出て行ってしまったところもあります。しかし現在は都会から田舎暮らしを求めてくる若者もちらほらといて、田植えも手で植えたりして頑張っています。
馬を使って田んぼや畑を耕したり、山から木を切り出したり、今の若者は面白いことを考えます。一部とは言え、もし昔と同じような生活を求めるようになったら、きっと昔の道具たちも復活するんでしょう。すでに当時の鍛冶屋は無くなっているのが残念ですが、いま手に入る道具を大事にしたいと思います。
by 川越 (2022-08-06 17:10) 

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