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あらいの錐 [道具]

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今年最初の道具ネタは「あらいの錐」。半年以上もヤフオクで目を付けていたものの、数百円が惜しくてなかなか手を出せなかったが、いつ落札されてしまうか気になりつつの半年だった。しかし正月気分とお酒で浮かれて、やっと決断をしたものが今日届いた。

田舎暮らしをしていると釘を打つ機会はいくらでも出てくるけど、下手くそな自分は小さな釘は打てても太い釘はちょっと固い楓などに打つとすぐに曲げてしまい、ときどき錐が欲しくなる。

できれば「四つ目」と「三つ目」のそれぞれで大きさの違うものが欲しいけど、とりあえず今回の三つ目錐は少しサイズの大きなもの。ちょっと太めの釘を曲げないで打ち込むには、錐で穴を開けて釘をリードしてやると打ちやすい。

ちなみに小型の三つ目は、バイト先のシェフが小学校で使っていた、ちょっと軸がズレて曲がったものをもらって使っている。細い釘ならこれでもなんとかなっている。

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昔、大工仕事の難易度を表すのに「いち錐(きり)、に鉋(かんな)、さん手斧(ちょうな)」という言葉があったらしい。誰でも扱える錐が最も難しいのも不思議だけど、単純なものほど奥が深く、一見簡単な仕事を丁寧にこなしてこそ良いものができるという戒めを含んだ言葉かもしれない。

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あらいの刻印は多種多様

実はこの錐、鋸や斧と同じように鉄を熱して打って形を整えて作られたもので、戦前~昭和中頃(40年代らしい)まで埼玉県川口市の新井行雄氏(故人)が夫婦で作っていたもの。「あらいの錐の精度は素晴らしく、折れず曲がらず全くブレがない」と聞くが、その使い心地はこれからの楽しみ。

手間の掛かる手作りで日産20本の仕事。新井氏の生前は名人につきものの貧乏暮らしだったらしい。贋作も出回っているようだが、その贋作さえも今の錐に比べるとずっといい出来というのは皮肉なものだ。

錐は回転運動で仕事をするので柄と刃の中心軸が通っていることが重要になり、刃に柄をきちんとすげるのはけっこう難しい。刃の部分を万力で押えて柄を慎重にすげるが、刃に合わせて柄の方を削り直す方が簡単かもしれない。
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