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クワの研ぎ [研ぎと目立て]

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昨日、山に入らせてもらう代わりに見つけた舞茸をあげて来た農家のお母さんに、「爺さんの使っていたクワを研いでくれるか?」と頼まれた。「本来の研ぎ方がわからないけど、できる範囲でいいなら」ということで預かって来た。

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一応ある程度形を整えて刃を付けたけど、使い方がわからないので刃先の形をどうすればいいのかわからず、とりあえずという感じ。でもこのおじいさんのクワ、よく見ると鍛冶屋の銘が打ってある。

「柳」というのはこの集落にはとても多い名前だけど、かつてはここにも2軒の鍛冶屋があったらしい。その一軒の野鍛冶の作ったものかもしれない。鋼がだいぶなくなっているけど、まだしばらくは使えるはずだし、よく見ればクワの先の鋼は何度か継ぎ足してあるように見える。

昔の斧やナタなどの農具は、減ればこうして鍛冶屋仕事で復活させて使い続けたのだろう。おばちゃんも「使いやすいからこればかり使う」と言っていた。高い道具でなくても、しっかり作ってある道具は治しながら代々使えるもんだったんだろう。
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コメント 4

Yozakura

川越さま
 本日2枚目の写真を拝見しますに、確かに「柳」とあり、その下には更に「請」と云う刻印が見えます。
 仔細を覗うに、最初の一文字「柳」は御丁寧なことに、国構えの括弧にグルリと取り囲まれています。屋号の表記だったのかも知れません。その下の「請」とは、「注文を請け負った『柳』が鍛造した」との意味でしょうか?

 しかも、その鍬を愛用して止まない利用者からは、

> 使いやすいから、こればかり使う

 と賞賛されても居ます。鍛冶屋の心意気が垣間見えたような刻銘です。佳い写真を見せて貰いました。お元気で。
by Yozakura (2022-10-23 04:43) 

川越

>Yozakuraさま
この刻印、写真だと見にくいですが、「請」の文字の下には「合」の文字が薄く見えました。鍛冶屋の刻印にはよくこの「請合」「保証」などの文字があります。鍛冶屋の保証書のようなものだと思っています。

たとえば鋼がなくなるほど研ぎ減ったものでも、新たに鋼を鍛接したりするのは、普通のことだったようです。クワ、スキ、斧、ナタなどの古いものは、よく継ぎ足した跡が残っていて長年使われたものなんだろうなと想像できます。

もっともキコリが使う斧などは、毎年2本新しい物を作ったなどと、北海道開拓の本などには書いてあったりします。毎日使い、毎日研ぎながら使うもには消耗も早いのですが、それにしてもすごいものです。
by 川越 (2022-10-24 08:49) 

Yozakura

川越さま
 返信を拝見。態々のご連絡、有難う御座います。

 そう言われて写真を拡大し細部を凝視すれば、「合」の文字の一部が見えない訳でもない----と云うレベルの映り具合です。
 まぁ、実物を手に取って見ないと判然としない情況のようですね。経年と共に、鍬の素材も摩滅や劣化が激しく、刻銘も読み取り難いこともあるのでしょう。お元気で。

 
by Yozakura (2022-10-24 14:27) 

川越

>Yozakuraさま
素材の劣化と消耗はありますね。サビもたっぷりですから、文字も判別は難しいです。でも材料の良し悪しは現代の方が優秀でも、一つ一つ地元民の注文で作られた道具は、その差を逆転しまうこともあるんじゃないかと思います。昔の道具侮りがたしです。(^^)
by 川越 (2022-10-24 17:43) 

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