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ステンレスの包丁はなぜ研ぎにくいのか? [研ぎと目立て]

自分のこれまでに研いできた経験から言うと、ステンレスの包丁は非常に研ぎにくい。ステンレスの包丁と言っても現在は様々な種類があり、粉末鋼と呼ばれるものなどはかなり性格が違うし、ほとんどアルミ合金の打ち抜きのようなものから、スチール合金のようなカチカチのものまで様々だ。柔らかくて刃が付いたかどうかわからないものもあれば、高硬度で砥石が滑って研ぎ難いものもある。

よく研ぎに出される包丁に多いステンレス鋼は、クロムやモリブデン、バナジウムなどが配合された合金で、刃に粘りと耐摩耗性を出し、錆びにくくするし刃こぼれもし難くなる。

世の中のお母さんたちにとって、この錆びにくい、あるいはほぼ錆ないメリットは何にも変えがたいものらしい。もちろん切れの良さなどよりずっと大事に思っているに違いない。

ステンレス鋼を研ぐ上での難点は他に、研いだ時のかえり(バリ)がなかなか取れない事。かえりを取るためには反対側から研ぎなおしをする必要があるが、鋼の包丁ならば簡単にかえりが取れるが、粘りが強いステンレス鋼は右に左にと折れ曲がるばかりで、なかなか刃先からかえりが離れてくれない。

はては微細なかえりはついに刃先から離れることなく、折れ曲がって刃先にへばり付いてしまう。こうなると一見きれいに見える刃線も、実際には折れ曲がったかえりが付着しているので全く切れない。

さらにはやっとかえりが取れたと思ったら、よく拡大して見ると刃先のバリが千切り取られたようになっていて、まるで汚い鋸の刃のようになってしまう。

かと言って時間をかけてきれいにバリを取って刃先をきれいにすると、鋼と違ってなぜか滑ってしまい物が切れない。鋼の場合は刃先のギザギザはない方が繊細な切れになるが、ステンレスの場合はある程度のギザギザがないと切れ込んでくれない印象がある。

現在はこのバリの処理をどうするかで、毎回時間がかかっている。合金の種類が多彩なだけに、一律にこうすれば良いとはならないのが辛いところ。

しかしyoutubeでステンレス包丁の研ぎ方をみると、どれもこれも簡単にバリを出して(ばりを出すのは簡単)、そのバリを取って「はい、切れるようになりました」と、コピー用紙を切ってみせる。

あれで本当に食材がちゃんと切れるようになっているんだろうか?自分の下手さを棚に上げて文句を言っているように思うけど、実際なかなか思うような刃先に仕上げられないので、不思議でしょうがない。

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