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戦前の酒瓶 [田舎暮らし]

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一昨日、友人に誘われてこの集落に一軒だけある酒屋さんに飲みに行ってきた。といってもここはただの酒屋で飲み屋ではない。でもときどきお酒を買いに行くとご主人が珍しいお酒や、新しいお酒を試飲させてくれたり、飲み比べをさせてくれる。

ということで、店を閉めた後に酒盛りが始まることもある。今回は友人がチーズをたくさんもらったということで、これをつまみにワイン三昧だった。3人でボトル4本を開けたところで帰ってきたけど、すっかり酔っ払いになってしまった。

この時に見せてもらったのがこの酒瓶。どうやら戦前にこの店で使っていた酒瓶らしいが、一升瓶の形というのは珍しい。普通はもっと下の方が膨らんでいて背の低いものが使われる。この下膨れの形は基本的には船に揺られるような場所で安定するためだけど、この一升瓶はこの地域独特のもののようだ。

というのは、この細長い形は囲炉裏の灰の中に埋めるためのもの。朝この酒瓶を囲炉裏の端に埋めて畑仕事に出かけて行き、日が暮れて帰ってくるとちょうどいい塩梅にぬる燗ができている。それを囲炉裏に当たりながら一杯やって1日を終えるらしい。

一升瓶の形など気にしたことがなかったけど、なるほどなぁと感心した。そういえば私の好きなお酒に雪中梅があるけど、このお酒は美味しいのにあまり生産量が多くない。売れないわけじゃなくてたくさん無理して作りたくないらしい。

いわく「地元の人が1日の仕事の終わりに、一杯だけ飲んで『今日も疲れたが、うまいなぁ』と満足してもらえればいい」ということらしい。名が知れると大量生産になり、どこか味が変わる酒蔵もあると聞くけど、昔からこのお酒を飲んでくれている地元の人だけに満足して飲んでもらえればいいと、納得のいくお酒を作り続けるというのもいいものだと思う。
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上海狂人

最近は海外でも小さい酒蔵の酒を宣伝して日本中、世界中にと促進をしたいと思っても、作る気がないので売りたくても売れないと商社が嘆いていました。

一昨日は魚沼の玉川酒造と八海山に行き、生絞りを買ってきました。
八海山の生絞りは上品な味で、料亭でだすような感じ。玉川酒造はまだ前に開けた純米吟醸が残っているので生絞りは飲んでいませんが、がっつりくるので好きなお酒です。
by 上海狂人 (2023-12-18 09:34) 

川越

>上海狂人さま
冬になりましたね。今も降り続いていますが、この調子だと50センチは軽く超えそうな勢いで、今日は朝から大忙しです。そちらは大丈夫ですか?
八海山はいいお酒ですね。先代の「おっかさん」がいた頃はよく飲んでいましたが、最近はほとんど口にしなくなりました。新潟はお酒の種類が多いです。玉川酒造は知らないです。今度気にしてみます。

売る気がない酒屋のお酒は商社が扱わなくてもいい気がしますが、どうなんでしょうね?本来日本酒は地元の人だけが飲んでいたものだろうし、別の土地に行けばまたその土地のお酒が飲めるでいい気もします。もちろん商売ですから、売りたい人が協力して売り上げを伸ばせばいいのは当然ですが、それで味が変わるのはどうなんだろうという気もします。

でも今は酒屋の話を聞いていると、年齢に関係なくお酒の好みが変わっているように感じます。酒作りも若い人が作り始めている蔵も多いですが、彼ら造るお酒はやはり味が違います。嗜好品なのでいろいろな味があるのはいいことだと思いますが、ときどき「これよりもこっちが人気があるのか!」と驚くことがあります。どうも私の舌は古いようです。(^^;
by 川越 (2023-12-18 12:15) 

上海狂人

海外でも今更獺祭ではなく小さな酒蔵のものも好む人も増えているようです。
中国にいたころ、天津という町で日本酒バーがあり面白そうなので入ったところ日本酒ソムリエの資格をもった30くらいの女の子がお店をやっていました。
ワインのようにプレミアがついてしまい地元の人が飲めないような値段になるのも困りものですけど。

ここ10年くらい前からお酒の酸味を強くするようにして和食でも洋食でも併せられるようにしているそうです。うちのかみさんが好きな玉川酒造のイットキ―なんてのも、そういう傾向で醸造を水ではなくお湯で行い酸味を強くすると言っていました。
雑誌でもスイーツと日本酒を合わせるなんて特集されていましたから、もう別の飲み物と思った方が良いかもしれません。

玉川酒造は定番の玉風味という酒は地元民の好みに合わせている典型的な酒で、酒呑みは本醸造が一番良いと言います。ワタシは18代純米吟醸というのが好きです。生絞りなら更に美味しいです。

by 上海狂人 (2023-12-18 14:04) 

川越

>上海狂人さま
いろいろ時代に合わせて工夫がされているんですね。昔なら蔵によって大きく味が分かれていたように思いますけど、今は一つの酒造でも何種類も出ているのが普通なので、そうして変化のある味にすることも必要なんでしょうね。
お酒は人によって、蔵によって、純吟が好きやっぱり大吟醸、いやいや本醸造が旨いなどいろいろありますよね。一つの酒蔵が気に入っても、その中でやっぱり好みが出てくる気がします。大吟醸ならどこでも間違いはないだろうと飲んだら、全然アテが外れることもあるし、それが面白いところでもあります。
by 川越 (2023-12-18 18:19) 

上海狂人

獺祭といえば銀座に獺祭のShopがあるそうで、そこに白タクで乗り付けた中国人たちが買いに来ているそうですが、その白タクの不法停車が問題になっているようです。
by 上海狂人 (2023-12-19 09:04) 

川越

>上海狂人さま
獺祭は阿部さん以来大人気になって生産量が大幅に増えたようですね。山口の酒ですけど、あれ以来四国でもずいぶん獺祭用の田んぼができたようです。商売で考えればこれが本来の姿んでしょうね。今は縁が弱いということもあるんでしょうけど、中国の方に限らず海外から観光に来た方がが買いに来るくらい人気なら良いことです。今は日本酒もウイスキーも日本のお酒は人気ですね。
by 川越 (2023-12-19 10:29) 

minton

ニュースで津南の雪が出ていました。
頑張って冬を乗り切りましょう!!

ふらっと寄れて、語ってくる
そんな酒屋ってなかなかないですよね

御商売を継続することは大変な努力も苦労もあるでしょうが、続けてほしいですね。
少しずつ人との縁が薄くなりつつある昨今、こういう場所があるって羨ましいです。というかそういう酒屋に自分の居場所を作ってある川越さんがすごいです。
by minton (2023-12-19 10:43) 

川越

> mintonさま
いつものことなんで恐縮しちゃいますが、mintonさんは私のことを買いかぶりすぎですよ。(^^;
たまたま集落に一軒残った酒屋さんがいい人で、良くして頂いているだけなんです。でも品揃えもちょっとこだわりがあるようで、田舎の酒屋なのに私には嬉しいお店です。

この酒瓶の「三笠川」というのは、お店の名前が「三笠屋」なので、ここのオリジナルのお酒だと思いますが、名前の由来は「戦艦三笠」らしいです。戦艦三笠といっても通じない時代になりつつあると思いますが、当時は誰もが知る名前だったんでしょうね。
by 川越 (2023-12-19 13:02) 

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