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手持ち刃物の変遷 [道具]

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35年以上前からアウトドアに興味を持ち出して、同時に刃物にも興味を持ってきた。ラブレスやランドール、イイダなど、有名ブランドを含めて数多の刃物を手にしては手放してきたけど、今手元にあるのが上の写真の刃物たち。

この中で左側の刃物は最近ではほとんど出番がなくなっていて、相棒とキャンプに行く時か、獲物の解体に使うことがあるくらい。右側の4つの刃物が普段の生活の中で使っているもの。右の一番上は唯一の折りたたみ式ナイフで、普段ポケットに入れて紐を切ったり郵便の封を開けたり、袋を切ったり、バイト先の花を切ったりと、日常的に便利に使っている。もう少し小型の物でもいいけど、大は小を兼ねることも多い。

上から2番目は折りたためないけど、幅が広いので山に入るときには斜面を登るときに手掛かりがないときに地面に刺して手掛かりにしたり、ウドを掘ったりするのにも使う。言ってみればニンジャが使ったクナイという刃物と同じ使い方。

3つ目の大きめの刃物は主に秋に腰に下げている刃物で、柄の部分が中空なので、ここに長い棒を刺して木の上のほうに出ているキノコを切り落とすのに使う。2番目のナイフより大きいので、地盤が弱い斜面ではナイフよりも強力な支えになるので、地面に刺したりもする。柄に巻いてある細紐は、棒の先につけた刃物がキノコを切る際に落ちてこないように引っ張るため。

4番目の刃物は片刃の刃物で、一番繊細な刃先にしている。釣りの時に魚を捌いたり、猪の皮を剥いだり、藪漕ぎでツタの類を切ったり、山菜を切ったり何かと便利なので、基本的にはこの刃物を基準にして他の刃物を持つ。

なんてことを書くと「どうして複数の刃物を持ち出すの?」と思う人がいるかもしれないけど、裏山程度の山や県道沿いに歩く場合は1つ持てばいいけど、もう少し深い山に入る場合は獣との遭遇の可能性があるし(裏山でも熊がいる)、急斜面を登り下りすると刃物が鞘から滑り落ちることもあるし、ポケットから落ちることもある。たぶん山で遊んでいる人は、一度ならず刃物をなくしている経験があるはずだ。

山に入る時にはこの4つのナイフから、使い道に応じて2つを組み合わせて持ち出している。例えば1番目と3番目、2番目と3番目という感じ。3番目と4番目を持ち出すことはほとんどないけど、左側の一番上と右側の1番上か2番目と3番目、あるいは4番目という組み合わせは、軽いのでないことじゃない。両手に持って地面に刺しながら斜面を登ったりする。

その時に1つしか持っていなかったら、崖を降りることができなくなるし、大型の獣に出会ったときに刃物をなくしていたらかなり心許ないことになる(こんな刃物一つで熊に対抗できるとは思わないけど、気持ちの上では多少の支えにはなるし、頼れるものがあるのとないのでは精神的な部分で全く違ってくるので、パニックにならずに済む可能性はある)。

なのでどうしても複数の刃物が欲しくなる。刃物以外に小型の斧を持つこともあり、斧としての使い方以外の、たとえば手の届かないところに打ち込んで手掛かりにして登ったり、降りたりすることも普通にある。

田舎暮らしを始めたことで刃物に対する考え方も随分変化した。昔は有名ブランドの気に入った刃物1つを腰に下げてアウトドアを楽しめればと思っていたけど、自然が生活の中で当たり前になると刃物一つでは何が起こるかわからないし、刃物はものを切るためだけのものではないこともわかってきた。

それに刃物は日常的に研ぎながら使うものという当たり前の現実がわかってきたことが大きな変化かもしれない。ということで、ブランドよりも実用的な大きさとメンテナンスのしやすさ、惜しげなく使えるものが中心になっている。でも切るにはやっぱり炭素鋼が好き。実は写真にはないけど、もう1本ある。まだ手元にはないけど、秋田の野鍛冶に頼んだナガサが暑くなるまでには手元に来るはず。それはまた紹介させていただきます。
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